8/12 開発者から見たケータイサイト
このサイトの管理者は、ケータイサイト制作の現場を末期にわずかに経験しています。開発者の側から見えていた景色を、当時の制作資料で裏を取りながら記録しておきます。
容量との戦い
とにかく容量制限が厳しい世界でした。iモードの全機種対応を狙うなら、画像はモノクロ2階調のGIFで5KB以内・最大94×72ドットが推奨。auはGIFで25KB以下、表示用は9KB以下が目安。時代が下ってXHTML対応が進んだ末期でさえ、画像込みでページ全体100KB以内が制作の基準でした。長い文章は分割が前提です。このテーマの「3件表示」「本文のページ分割」はその制約の再現です。
画像形式の分断
同じ画像でも、キャリアによって表示できる形式が違いました。ドコモ(iモード)はGIFが基本でPNGは非対応(PNGが使えるようになったのは最末期のiモード2.0ブラウザから)。逆にソフトバンクはJPEGとPNGが推奨で、初期のJ-PHONE機にはPNGしか表示できない端末すらありました。auは比較的寛容。結局、UA判定で端末を見分けて、同じ画像をGIF・JPEG・PNGに変換して出し分けるのが常套手段で、「GIFしか出ないドコモ端末」「PNGしか出ないソフトバンク端末」の機種名リストを抱えたコードが現場には転がっていました。ドコモがGIF、他がPNG寄りになった遠因には、当時のGIF特許問題(LZW特許、日本では2004年に失効)もあります。
スタイルはすべてインライン
外部CSSファイルは読み込めず、装飾はstyle属性のインライン指定(とstyleタグ)で書くのが作法でした。文字コードはShift_JIS。同じ見た目を何十ページにも手で繰り返す、今のテーマ開発とは別の種類の根気が要る仕事でした。
一番つらかった時期
意外かもしれませんが、一番つらかったのはケータイ全盛期ではなく、iPhone(3GSの頃)が日本に登場した後です。ケータイ、スマートフォン(フルブラウザ)、PCブラウザ(IE6とその他)という3系統を大量の条件分岐で出し分ける複雑な実装をしていました。当時のAndroidは出来が悪く、ブラウザ実装も機種ごとにまちまちだったため、開発では無視されるのが実情でした。あの時期の面倒さは、その後のブラウザ戦争の比ではなかったと思います。
余談ですが、このデモサイトの更新はWordPressの管理画面から行っています。モダンで使いやすいブロックエディタと、この240pxのフロントを行き来していると、さすがに隔世の感があります。
こうした制約はもうどこにも残っていませんが、このテーマの窮屈さの中に、当時の空気を少しだけ残してあります。
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